長年地元の人々から愛されてきた長良川鉄道に、2016年新たに誕生した観光列車「ながら」。ロイヤルレッドの美しい車体が、風光明媚な岐阜の山間部をゆったりのんびりと辿っていきます。今回はそんな「ながら」に乗って沿線の風景を楽しみながら、長良川上流で栄えた城下町、郡上八幡を目指してみました。
INDEX
長良川鉄道観光列車「ながら」
長良川鉄道は、岐阜県美濃加茂市にある「美濃太田駅」と岐阜県郡上市白鳥町の「北濃駅」を結ぶ、全長72.1kmに及ぶいわゆる「ローカル鉄道」なのですが、うち約50kmを日本三大清流のひとつ「長良川」に沿って走っており、車窓からの美しい景観が地元の人々のみならず、観光客にも人気の鉄道路線です。
観光列車「ながら」とは
そんな長良川鉄道で観光に特化させた車両として2016年に誕生したのが、この観光列車「ながら」。途中、美濃市から郡上八幡駅間のビューポイントをゆっくり運転し、とっておきの撮影スポットでは一旦停止もしてくれるなど、より景色を楽しめるよう工夫されています。また、各車両アテンダント付きで「ながら」の魅力や路線沿いの見どころをガイドしてくれたりと列車旅の思い出作りをサポートしてくれます。
「ながら」の様々なプラン
観光列車「ながら」で楽しめるプランは以下の通り。
プラン名 | 料金と発着駅 | 運行日 |
1号ランチプラン(下り列車) | ながら1号(下り) 美濃太田発→郡上八幡着 | 金土日祝 |
1号ビュープラン(下り列車) 2号ビュープラン(上り列車) | ながら1号(下り) 美濃太田発→北濃着 ながら2号(上り) 北濃発→美濃太田着 | 金土日祝 |
2号スイーツプラン(上り列車) | ながら2号 (上り) 郡上八幡発→美濃太田着 | 金土日祝 |
1号ランチ・2号スイーツセットプラン (上り・下り) | ながら1号(下り) 美濃太田発→郡上八幡着 ながら2号(上り) 郡上八幡発→美濃太田着 | 金土日祝 |
1号ランチプランでは「都ホテル岐阜長良川」の料理長考案の和洋食ランチが、2号スイーツプランでは郡上八幡のイタリアンレストラン「雀の庵」の特製スイーツがそれぞれ堪能できます。
各プランの料金は公式サイトよりご確認ください。
観光列車「ながら」に乗ろう
こだわりの詰まった車両デザイン
車両デザインはJR九州の豪華寝台列車「ななつ星in九州」を手掛けた工業デザイナー水戸岡 鋭治(みとおか えいじ)氏によるもので、地元由来のものから着想を得て洗練されたデザインがいたるところに散りばめられています。
内装にも沿線地域ゆかりのものがふんだんにあしらわれており、岐阜県産の木材に郡上八幡の「郡上本染」、関市の「関刃物」、美濃市の「本美濃紙」などが列車旅に彩りを添えてくれます。
「郡上本染」ののれん。印象的な鯉のデザインで、この鯉には“こいまる”といる名前も付いているそう。
よく見ると天井にも“こいまる”のデザインが施されています。
森号の座席シートはそれぞれデザインが異なります。いろんな席に座ってみたくなりますね。
車内では長良川鉄道オリジナルグッズの販売も。今回私はオリジナル手ぬぐいを購入しました。
「ながら」の眺め
風景を楽しむビュープラン
乗車券にプラス510円で楽しめるお得なビュープランは、気軽に「ながら」に乗車したい人におすすめのプランです。ボックス席やカウンター席の車窓から景色を楽しむことができます。
車窓からの風景
線路の大半が長良川に沿って延びている長良川鉄道。美濃太田駅を出発してしばらくは街並みや田園風景が続きますが、梅山駅を過ぎた辺りから先はそのほとんどを清流長良川をたどりながら進みます。右へ左へと見える位置が入れ替わりながら、水面に空が映り込むほど流れの穏やかな淵や、浅瀬に立つ白波など表情を変えていく長良川。なかでも湯の洞温泉口から郡上八幡駅までの間にある6つの橋梁からの眺めは見どころです。
「郡上八幡」で下車
観光列車「ながら」ビュープランの終点は北濃駅ですが、今回は郡上八幡駅で下車し、踊りと水の町として有名な城下町「郡上八幡」を散策します。まずは、ここまで運んでくれた森号をお見送りです。
レトロな雰囲気が残る郡上八幡駅。駅舎内にはカフェや観光案内所もありました。
郡上八幡でランチ!
郡上八幡駅で下車したらさっそく町中へ移動です。町の中心部まで徒歩20分くらいですが駅でレンタル自転車を借りることもできますし、タイミングが合えばコミュニティーバスを利用するのも便利です。
ランチは郡上八幡の隠れ家的カフェ「eBANATAw(エバナタウ)」で店長気まぐれのスパイスカレーをいただきました。
もちろん食後のコーヒーも。
パッと見ただけではカフェとは気づかないほど特徴のある入口。中に進むと素敵な空間が広がっています。
住所 | 〒501−4222岐阜県郡上市八幡町島谷769−2 |
営業時間 | 9:00〜19:00(ランチタイムは11:00〜14:00) 休業・時短営業の可能性あり SNS等で事前に確認をお願いします。 |
定休日 | 不定休 |
駐車場 | なし |
アクセス(車) | 郡上八幡ICより車で5分 |
公式サイト | https://xn--gckd3eyb3a.com/ |
さて、ランチをいただいたらなんだか甘いものが食べたくなったのでこのままお団子屋さんに直行です。
「団子茶屋郡上八幡」でみたらし団子と抹茶のセット注文しました。5つ玉の焼き立てお団子、もちもちで美味しいです。築100年の古民家をリノベーションした店内もお洒落で、囲炉裏や中庭がなんとも素敵な雰囲気でした。
住所 | 〒501−4222郡上市八幡町島谷1105 |
電話番号 | 0575−67−1222 |
営業時間 | 10:30〜18:00 |
定休日 | なし(不定休) |
駐車場 | なし |
アクセス(車) | 郡上八幡ICから5分 |
公式サイト | https://dangochaya-gujo-hachiman.storeinfo.jp/ |
郡上八幡を散策。
お腹も満たされたところで郡上八幡の町を赴くままに歩いてみることにしました。 重要伝統的建造物群保存地区に選定された古い町並みの残る鍛冶屋町、職人町。家々の軒下に下がる消火用バケツは、防火意識の高い郡上八幡ならではの光景です。
「上田酒店」という酒屋さんでは酒屋のソフトクリームなるものを発見。杏仁豆腐味のソフトクリームに地酒をかけていただくのですが、なんとこれ、アルコール度数21パーセントだそう。車の運転を控えている方は食べられませんが、今日は鉄道旅なので遠慮なくいただきます!
住所 | 〒501−4216郡上市八幡町本町846−3 |
電話番号 | 0575−65−3345 |
営業時間 | 平日9:00〜17:00 土日祝9:00〜19:00 |
定休日 | 水曜日(7・8月は無休) |
駐車場 | 2台 |
アクセス(車) | 郡上八幡ICから5分 |
公式サイト | https://www.ueda-saketen.com/ |
どこからともなく不思議な音楽が流れてきたので音の方へ向かってみると、移動スーパーが来ていました。毎週決まった時間にやってきて、合図の音楽を流すとまわりの家々から住人が買い物にやってくるのだそう。私もこの町の人になった気分でちょっとお店をのぞいてみました。
尾崎町まで足を運ぶと、現役で使用されている水船(みずふね)を見つけました。水船とは郡上八幡特有のシステム。湧水や山水を引きこんだ二層または三層からなる水槽で、最初の槽が飲用や食べ物を洗うのに使われ、次の槽は汚れた食器などの洗浄に使われます。
いくつかある小径も歩いてみました。「いがわ小径」では横を流れる用水路に川魚や鯉が泳いでいます。100円でえさを販売していたのでちょっとえさやり。
宮ヶ瀬こみちは吉田川沿いを歩ける遊歩道です。川面に近い歩道からは清流を泳ぐ鮎の姿が。郡上鮎はブランド鮎として有名ですが、こんなに身近なところで泳いでるなんて驚きです。
さらに歩いていくと、たこ焼きの屋台が出ていたのでひとつ買って川沿いのベンチでいただくことに。
この屋台自体は期間限定でこの日で終わりでしたが、たこ焼きは城山公園の駐車場内の華虎八幡城店で購入できます。今回は一押しの岩塩味をいただきましたが、郡上味噌味も美味しそうだったのでまた買いに行きたいと思います。
おわりに
「ながら」に乗って長良川を辿った今回の旅。車なら半分ほどの時間で行けてしまうところを、列車に乗って時間をかけて、あえてのんびり移動する。そんな贅沢な旅を「ながら」はより特別なものへと誘ってくれました。沿線で「ながら」を見かけて嬉しそうに手を振ってくれる人に、こちらも嬉しくて手を振り返す。この素敵な列車に今自分は乗ってるんだよってことをみんなに自慢したくなるような、そんな列車でした。そぞろ歩きに最適な郡上八幡に、長良川鉄道「ながら」で訪れる。これ、最高の組み合わせ旅だと思います。