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2025.02.25

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浅野太鼓に牛首紬!全国に自慢したい白山の伝統工芸8選

石川県白山市は、金沢に次ぐ「伝統工芸のまち」としても知られています。浅野太鼓や牛首紬といった全国に名を馳せる工芸品をはじめ、加賀獅子や美川仏壇など、地域に根付いた文化が今も受け継がれています。この記事では、白山市の誇る伝統工芸8選をピックアップ!白山の魅力を再発見しに、ぜひ一度訪れてみてください!

金沢に次ぐ、伝統工芸のまち「白山」

機械、繊維、ITなど、「ものづくり」が盛んな石川県。なかでも海から山まで広がる白山市は、霊峰白山を源とする伏流水と多様な風土にあわせて発達した生活の知恵をもとに、さまざまな伝統工芸が育まれています。それぞれの特徴や体験スポットなどを詳しくご紹介します。

浅野太鼓

日本が誇る伝統楽器の和太鼓♡創業400年を超える浅野太鼓さんでは、職人さんたちが太鼓づくりの匠の技を受け継いでいます。太鼓の製造工程には欠かせない木材ときれいな水・・・白山の豊かな自然の恵みのおかげで太鼓づくりの伝統が育まれたのでしょうね!

浅野太鼓とは?

浅野太鼓さんは、選び抜かれた原木を使い、出来上がり寸法よりも大きく形を整え、3〜5年間乾燥させてから作るそうです。胴の成形後、牛の皮を張り、強くしっかりと固定します。また太鼓の本体だけでなく、バチも製造していて、使う木材だけで6種類、長さや太さの組み合わせで50種類を超えるとか!

浅野太鼓の特徴

浅野太鼓さんは木の選別から仕上げまで自社で行う、国内有数の一貫体制で製造しています。そのためお客様のオーダーに合わせて、唯一無二のセルフカスタムの太鼓やバチを作り上げることもできるんです!

株式会社浅野太鼓楽器店
住所〒924-0051 石川県白山市福留町587番地1
営業時間平日:9:00~17:00 土日・祝日:10:00~16:00(第3日曜以外)
定休日第3日曜、年末年始、お盆休み
駐車場あり
電話番号076-277-1717
公式HPhttps://www.asano.jp/

和太鼓の凄さを体験《太鼓の泉「響和館」》

和太鼓の魅力を探るために、《太鼓の泉「響和館」》を訪れました♩館内では太鼓演奏の指導やワークショップが行われています。実際に太鼓を叩いてその音色の美しさを肌で感じることで、伝統の技を体感できました!

今回は太鼓を叩く基礎について教えていただきました^^地を這うような太鼓の重低音を生で聞くことで、改めて太鼓の迫力を感じました・・・太鼓を叩くというのは一見簡単そうに思えますが、力の抜き方や入れ方、姿勢など気を付ける点が多いこと!この難しさがまた太鼓の楽しさにつながっているのでしょうね!

《太鼓の泉「響和館」》
住所石川県白山市水島町1038-1
電話番号076-277-1721
営業時間受付時間:10:00〜16:00
定休日火曜日・年末年始・その他不定休あり
駐車場あり
公式リンクhttps://www.taiko.or.jp

牛首紬

「牛首紬(うしくびつむぎ)」は、日本三大紬のひとつで、白峰地区で作られています。「牛首」という名前は、白峰の旧地名(牛首村)に由来していて、守護神「牛頭天皇(ごずてんのう)」にちなんだ地名だそうです。

牛首紬とは?

白峰地区は「雪だるままつり」でも有名で、冬は数メートルの雪に閉ざされます。山間地で農業に適した平地が少なく、古くから養蚕が盛んで、貴重な現金収入源だったそうです。扱いが難しいため、くず繭とされていた「玉繭」を有効利用しているのが牛首紬です。

表面にさりげない光沢を持つ生地は、時代を超えて着物愛好家を魅了しています♡スカーフなどの小物も上品で華やかです。

牛首紬の特徴

牛首紬の特徴である「玉繭」とは、2匹の蚕がひとつの繭を作ったものです。100個の繭のうち2,3個程度発生する玉繭は、糸を作るのが難しいことから昔はお金にならず、絹糸ではなく紬糸として日常の衣料に使われました。牛首紬はこの玉繭の糸をよこ糸として使うため、所々に盛り上がったような節ができるのが独特です。

牛首紬の工房見学&織り体験《白山工房》

今回はこちらの「白山工房」さんにお邪魔し、実際に牛首紬を作る様子を見学させていただきました!「白山工房」さんは現在も白峰で牛首紬を生産している、数少ない工房のひとつです。繭から糸を引き出して織るまでの各工程をすべて工房内で行う一貫生産体制のため、数々の職人技を間近で見ることができますよ。蚕の糸をすいすいと縒っていく職人さんの手さばきには、思わず見とれてしまいます・・・

機織り体験では、手織り機を使ってコースターを作りました。踏み板を交互に踏みながらよこ糸である布を通していきますが、これが思いのほか大変! しかし織っていくにつれ、たて糸の綺麗なグラデーションが浮き出てきます。心に残る一枚を作ることができました◎

「白山工房」の見学・体験は完全予約制のため、ご予約のうえ、ぜひ足を運んでみてください♪また、白山工房とは別の場所になりますが「牛首紬×MIZEN白山店<加賀乃織座>」では、従来の牛首紬の着物反物に加えて、元エルメスデザイナーの寺西俊輔氏が2018 年の帰国後立ち上げた、プロジェクト「MIZEN」の牛首紬を使用した洋装商品も展示販売されているそうです!

牛首紬 織りの資料館 白山工房
住所〒920−2501 石川県白山市白峰ヌ17
営業時間9:00~16:00(完全予約制)
定休日土曜日・日曜日・祝日、冬期休館あり
駐車場あり
入場料大人 400円 小人 250円
電話番号076-259-2859
公式HPhttps://www.hakusan-koubou.jp/

《関連リンク》

白山市白峰ご当地グルメ巡り|豪雪地帯が育んだ独自の食文化

白山工房のある白峰地区の絶品グルメをまとめました。豪雪地帯ならではの食文化や新名物“ダムカレー”にも注目です。

まだまだある!白山市の伝統工芸

石川県内では白山市が金沢市に次いで2番目に工芸が盛んで、伝統工芸は地域の人々の暮らしのなかで育まれ、受け継がれてきました。以下では、加賀獅子、加賀繍、美川仏壇、鶴来打刃物、ひのき細工、こつら細工についてご紹介します!

加賀獅子

400年以上の歴史を持つ加賀獅子。全国的にも珍しい獅子頭専門の知田工房さんは親子三代の職人です。祭礼用など500頭以上の獅子頭を制作・修理した実績があるそうです。

使い込まれた道具が美しい工房には、県内外から修理を頼まれた獅子頭がずらり!江戸後期の作者不詳の大きな獅子頭もあり、ひとつひとつに巨木のような存在感が・・・制作用の原木は白山麓で育った桐材。

「長い年月の間、生命を蓄えてきた木の中に眠る獅子を彫り上げる」のだと二代目の知田清雲さん。獅子頭は「町の守り神。大切されているので長持ちする」んだそうですよ♪

加賀獅子頭 知田工房
住所〒920-2113 石川県白山市八幡町98
電話番号076-272-1696
営業時間9:00〜18:00
定休日不定休
駐車場あり
公式リンクhttps://www.chidakoubou.com/

加賀繍

職人の手でひと針ひと針仕上げる加賀繍。金糸、銀糸、うるし糸、色鮮やかな絹糸などが使われています。糸が重なり立体的に浮かび上がる図柄、絹糸の色の変化によるグラデーションなどの技法は繊細ながらも華やかな独特の美しさ・・・

江戸時代、徳川二代将軍徳川秀忠公の次女珠姫様が前田家に御輿入れの際に携えてきた「白紋繻子地水仙唐花丸文様繍小袖」。22の花束が描かれています。本来は加賀友禅である鹿の子の部分がすべて刺繍に!絹糸に縒りをかけない平糸での「繍い切り」、太い金糸を用いた「駒繍い」を中心とした技法だそうですよ^^

鐘馗陣羽織(しょうきじんばおり)。戦国武将の前田利家が出陣の際に羽織ったと伝わる桃山時代の縁起の良い陣羽織の復元品です。

国指定の伝統工芸士である横山佐知子氏が2011年に立ち上げた工房「加賀繍IMAI」では、加賀繍を現代的にアレンジした一点ものを中心に創作活動が行われています。「FENDI」や「ヴィヴィアン・タム」とのコラボレーションはまさに伝統とファッションの融合・・・100年の伝統と技法を守りながら、新しい加賀繍の魅力が生み出されています♡

石川県加賀刺繍協同組合事務局
住所〒920-8203 石川県金沢市鞍月 2-20 地場産業復興センター新館2F
電話番号076-268-8115
営業時間8:30~17:15
定休日土・日・祝、年末年始
駐車場あり
公式リンクhttp://www.kaganui.or.jp/

美川仏壇

500年の伝統を継承する「美川仏壇」。全国でも類例のない堆黒(ついこく)などの技法に代表される「堅牢、荘厳、華麗」な完成度が圧巻です。

北島仏壇さんによると、伝統工芸は「総合芸術」であり、「その職人だけが造るのではなく、職人が使う道具や材料を造る舞台裏で働く職人達の連鎖によって支えられた多種多様な稀少技術の結晶」であると。創造力と探求心に富み、妥協のない職人気質に支えられた美しい伝統文化にため息が出ます・・・

美川仏壇協同組合(北島仏壇店)
住所〒929-9222 石川県白山市美川新町ル 86
電話番号076-278-2275
営業時間8:30~17:00
定休日日曜
駐車場あり
公式リンクhttps://www.mikawa-butsudan.com/

鶴来打刃物

「何を切るのかお伺いしてから製作する」と話すのは、鶴来打刃物の唯一の継承者、池田徳平氏。170年あまり続く鋸匠の六代目です(昔ながらの匠の技はこちらをご覧ください「石川の伝統産業『鶴来打刃物』」)工房が大好きな可愛いお弟子?(お孫)さんの姿も♡

焼き入れ前後の鋼(はがね)やさまざまなかたちの鋸を見せていただきました。切り口がきれいなため、リンゴの剪定用鋸では「剪定した次の年に早く良い枝や芽が出る」とお客様に好評だとか!

徳平鋸製作所さんの鋸は、皇室がご臨席される行事や兼六園の造園の剪定にも使われています。「かわとり包丁」は全国放送のテレビ番組で紹介されると注文が殺到して、すべて出荷するまで1年近くかかったそうですよ!「石川県立伝統産業工芸館」さんでは大鋸や鍬など大きな道具が展示されていて、輝きも迫力満点です◎

池田徳平鋸製作所
住所〒920-2121 石川県白山市鶴来本町三丁目ヲ63
電話&FAX番号076-272-0002
メールアドレスinfo@ikedatokubei.com
営業時間8:00~18:00
定休日不定休
駐車場なし
公式リンクhttps://ikedatokubei.com/

ひのき細工

400年ほど前、旧尾口村の深瀬に伝わったひのき細工。耕作地が乏しく雪深い白山麓の村では冬季に出稼ぎに行くことが多いなか、深瀬ではひのき笠の生産が盛んだったおかげで正月も村をあげてお祝いができたそうです。ひのきは軽量で耐久性にも優れていることから、帽子として米国に輸出されていたときもあったとか!

今でも伝統の技が大切に受けつがれています。ひのき細工の材料の「ひんな」を作っていらっしゃるのは、伝統工芸士の香月久代さん。幼い頃からご実家のひのき笠作りを手伝っていたそうです。

ひのき細工と浅野太鼓文化研究所さんとは、桶胴太鼓「玲瓏(れいろう)シリーズ」で「匠コラボレーション」が実現しています!「玲瓏」とは冴え冴えと澄み切った音色の響きを表し、「弾けるような芯のある明快な打撃音」が魅力です。箍(たが)の網代組は、美しさと耐久性を兼ね備えたひのき細工です◎

ひのき笠のほか、コースター、バッグ、アクセサリーなど現代にあわせて作品が多様化しています。鶴来の「横町うらら館」では初心者でも体験ができます。やさしく教えてくださいます♡

深瀬檜細工工房
住所〒920-2142 白山市深瀬新町12
電話番号076-259-1394/090-9447-3131
営業時間【横町うらら館 (住所: 〒920-2126白山市鶴来本町タ1)】10:00~16:00
※作家は水・土曜在館、日曜は予約のみ受付
休日旧盆(8月13日~16日)、年末年始(12月29日~1月5日)、その他不定休あり
駐車場なし
公式リンクhttps://fukazehinoki.blogspot.com/

こつら細工

弥生時代の遺跡で出土したこつら細工。自生のマタタビのつるを編み上げる手工芸で、旧河内村では百年以上前から男衆の冬の農閑期の仕事でした。地域の伝統を守るのは設立42周年の河内民芸品振興会さん。経験20年以上のベテランの方から初めて間もない方など会員は約20名。「趣味の会みたい!」と楽しそう^^

材料は里山で採ってきたマタタビの木の枝を十字の道具で四つ割りにする、水に浸す、蒸す、皮を取るなど、つるの幅が揃うまで整えます。道具はどれも会員さんの手作りだとか!

切れ端のつるでコースターなどの小物を作ります。赤しそなどでつるを染めることも!ある会員さんが10年以上愛用しているバッグは艶々して美しい♡ 次世代への継承にも熱心で、学校での出張講座もしているそうですよ^^

河内民芸品振興会 事務局
住所石川県白山市河内町板尾ニ41

後世に伝えたい、白山市の伝統工芸

いかがでしたか?白山の頂上から日本海へ広がる自然の豊かな恵み・・・白山市の伝統工芸は自然環境と深くつながりがあります。多様な伝統工芸がある=多様な自然があるでしょうか^^ 伝統工芸の技と美を受け継ぐことは、自然を守ることにもつながるんでしょうね!取材にご協力くださった伝統工芸家の皆様に心より感謝申し上げます。ありがとうございました!

ライター:北陸学院大学「白山ジオサークル」

白山手取川ジオパークの魅力を英語で発信しています!(Hakusan Geo

Hokuriku Gakuin University’ student group promoting the Hakusan Tedorigawa UNESCO Global Geopark.

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